事業紹介

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「らしさ」を追求した社歌をつくる。音楽からスタートしたカンパニーならではの、オリジナル楽曲制作の舞台裏をご紹介。

2019年7月中旬。毎年千葉公園で開催され、5万人規模の動員を誇っているアートフェス「YohaS」なども手掛ける千葉市内の不動産会社様から、「社員全員が楽しく歌えて、みんなの結束を高めることができるようなオリジナル社歌を作りたい」というオーダーをいただきました。独創的で、ユニークな社風を持つ企業様の社歌が完成するまでの舞台裏を紹介していきます。

ご依頼の経緯

千葉市にある千葉公園で5万人規模の動員を誇っているアートフェス「YohaS」。同イベントには、弊社もイベント制作・運営・音響・照明・映像配信…と様々なセクションから携わらせていただいていますが、このイベント手掛けているのが、千葉市に本拠地を構える、土地の仕入れから住宅の設計・施工、販売後のアフターサービスまで街づくりに一貫して関わるユニークかつ独創的な不動産会社、株式会社拓匠開発様です。


拓匠開発様と一緒に、YohaSを創りあげていく中でご縁を結ぶこととなり、拓匠開発様のブランディングイメージ向上、そして社内組織の結託をより強固とするための「オリジナル社歌」の制作をご依頼いただくこととなりました。

YohaS 2019 蓮華亭内の様子
YohaS 2019 前夜祭の様子
YohaS 2019 南口ステージの様子

あえて曲調を『六甲おろし』みたいにして欲しい

今回、私たちレインカラーズが担当とすることとなったのは作曲・レコーディング・全体ディレクション。私たちが作曲した楽曲に歌詞が合わさり、その後編曲が行われます。まずは、拓匠開発様の持っている、社歌についてのイメージを、拓匠開発様、作曲家チームとなる弊社と、作詞家チームとなる企業様の3者で話し合うところからスタートしました。

12月に社員へのお披露目を行うということでしたので、それに間に合うような制作スケジュールを作成し、定例ミーティングにて制作物のイメージの擦り合わせや作業スケジュールの微調整を行うことを決定してから、まずはどのような楽曲にしたいかのイメージをヒアリングしていきます。

楽曲のイメージは、プロ野球・阪神タイガースの応援歌『六甲おろし』みたいなもの、というオーダー。社歌なので、オシャレで今時風な曲調ではなく、あえて昔からあるような雰囲気の社歌にしたい。社員誰もが歌えるような曲調で、みんなで歌った後に「よし、今日も頑張るぞ!」と気合が入るようなマーチ調のものが良いとのご意見をいただきました。

その後も、イメージしているような楽曲『怪獣大戦争マーチ』などをお聞かせいただき、お客様から充分にヒアリングを行った結果「マーチ調で誰もが歌いやすい曲」をコンセプトとした楽曲制作がスタートしました。

楽曲ラフを提出、詩とメロディーを合わせていく

作曲のイメージ

楽曲のイメージに関してのヒアリングが完了したら、いよいよ作曲に移ります。
弊社では、大体2〜3曲、ワンコーラス程度の楽曲のラフを制作してお客様にご提出するようにしています。日頃の業務の中、日常生活を送る中で浮かんできたメロディーを書き留めたり、ピアノと向き合ってメロディーを弾いてみたり…。大まかなイメージを頭の中に描きつつ、誰もが覚えやすく・誰もが歌いやすく、一般の方が歌う時にもキーが高すぎないようにするなどといったところに気をつけながら作曲していきます。今回は2種類の楽曲を制作しました。

余談ですが、楽曲の制作というのは作家によってスタイルが変わってきます。歌詞を考えてからメロディーをつける・メロディーを考えてから歌詞をつける、そのふたつを同時進行でこなす…。そのスタイルの差は、作家によって千差万別です。

今回は、弊社と別ラインで社歌に入れ込みたい言葉・歌詞を考えてくださっていたので、歌詞をメロディーに合うように調整する作業も弊社で行います。そのため、様々な言葉・音節に対応できるようなメロディーを意識しています。こうして8月末ごろに2種類の楽曲デモが完成しました。

デモ音源A
デモ音源B

楽曲のラフが完成したら、再度お打ち合わせにてお客様のイメージと合うかどうかを確認します。作成した2種類の楽曲ラフの中から一番イメージに近い楽曲を選んでいただくと同時に、作詞された詩をメロディーに当て込み、字余りが発生する歌詞を同じ意味を持ちながら違う言葉で表現するといった細かな歌詞の調整、メッセージ性の高い歌詞は調整をしない状態でメロディーラインに乗せられるように、リズムやメロディーの調整を行っていきます。


こうした作業を経て、拓匠開発様のオリジナル社歌の原案となるひとつのスコア(楽譜)が完成しました。

スコアの原案

本物のブラスセクションを使用した編曲がスタート

さて、作詞・作曲が一旦完成しました。
次に行うことは「編曲」です。どういった音源に仕上げたいか予算感とイメージをヒアリングします。今回は吹奏楽風に壮大な音源に仕上げたいというご意向がありました。限りなく本物の音に近い電子音を使用した音源にするのか、本物の楽器を演奏したものを録音してミキシングを行うかなどを話し合い、今回は地元千葉市にある千葉大学吹奏楽団の団員の皆様にご協力をいただき、本物のブラスセクションを使用した楽曲編成でレコーディングを行う段取りとなりました。

また、歌唱は当初、拓匠開発様の社員による合唱をレコーディングする段取りでしたが、「せっかく楽曲を作るなら、後世に残るものなのでプロに歌ってほしい」というお客様のご依頼のもと、弊社ファミリータレント松本卓也・Noah2名で歌唱するバージョン、拓匠開発様を代表して社内オーディションによって選ばれた社員1名の独唱バージョンの2種類の音源を制作することとなりました。

編曲チームとのやりとりがスタートします。お客様と吹奏楽団の皆様とレコーディングスケジュールを調整し、レコーディングスタジオを押さえて、30名規模での吹奏楽編成にて編曲がスタート。具体的な楽器編成を編曲家と話し合い、少人数でも音の厚みの出る楽器編制を考えました。期間を設けて、編曲チームから楽曲デモをもらい、弊社の作曲家のイメージにより近くなるように、「メインメロディーの後ろで、ピッコロとフルートをもう少し遊ばせたい」「サックスやトランペット、ユーフォニアムあたりの中音域に厚みが欲しい」といった細かなやりとりを行い、吹奏楽編成のスコアを完成させました。

完成した吹奏楽編成のスコア(全体譜面)

レコーディングに向けて練習がスタート

吹奏楽用のスコアが完成したら、全ての楽器の動きが記入されているスコアと、楽器ごとに個別に作成されたパート譜を演奏者の皆さんにお配りして、10月中頃から練習がスタート。本番であるレコーディング日は11月末でしたので、本番1週間前に一度合奏視察と演奏指導の機会を設けて本番に臨む段取りとなりました。演奏指導の場では、吹奏楽経験者でもある弊社ディレクターが、「マーチなので重たくないようにテンポを細かく感じて吹くように」「強弱を意識して演奏するように」など、全体・パートごとの細かなアドバイスをして本番までにより良い演奏ができるようにしていきました。

千葉大学吹奏楽団 合奏視察の様子

同時期に、ファミリータレントである松本卓也・Noahバージョンのボーカルレコーディングを自社スタジオにて行いました。このボーカルだけを録音したデータを、11月末の吹奏楽レコーディングの場でミキシングします。

また、拓匠開発様を代表して歌われる社員の方の歌唱指導も、プロとして活動する松本卓也・Noah自ら行い、自社スタジオにて練習が行われ本番を待つのみとなりました。

レコーディング・ミキシング・トラックダウン作業

当日のスケジュールを記載した香盤表

そしていよいよレコーディングに移ります。
都内の大人数が収容可能なレコーディングスタジオを借りて、いよいよレコーディング作業に入ります。
こちらで策定をした香盤表に従って、まずは、吹奏楽のレコーディングからスタート。録音をしやすいように、あらかじめ決めておいたセクションごと(トランペットだけ、木管楽器だけなど)にレコーディングを行なっていき、徐々に音を重ねていく手法でレコーディングを行います。何回もテイクを重ね、その都度演奏への細かなオーダーを出してより良いテイクを録音していく作業が続いていきます。吹奏楽のレコーディングだけで4時間かかります。大変な作業です。

吹奏楽団に所属している大学生たちは、こんな大掛かりなスタジオでのレコーディングが初めてということで、終始楽しそうにワイワイしながら本番に臨んでいたことが印象的です。

セクションごとのRECの様子①
セクションごとのRECの様子②
セクションごとのRECの様子③

さて、吹奏楽のレコーディングが全て完了したら、今度は声のレコーディングに移ります。
拓匠開発様の社歌は、他の企業の社歌にはない特徴的な箇所があるのです。それが、曲間の語り(セリフ)です。今回は、拓匠開発様の社員の中で、企業コマーシャルやラジオ宣伝などでよくナレーションをされているという方が代表してレコーディングへ。歌のレコーディングとは少し質感が変わってきますので、聞いている方に、素敵なセリフが入っていくように注意しながらレコーディングを行いました。

NA RECの様子
Vo RECの様子

そして、最後は、拓匠開発様社員代表の方のボーカルレコーディング。こちらも、まとまりの良いフレーズに分けてレコーディングを行い、最終的に良いテイク採用して繋げていくという作業を行います。一度歌い終わるごとに、もう少しこの言葉の頭の発音をしっかり、ここは少し跳ねるように歌って、というようにオーダーをしながら良いテイクをもらっていきます。

さあ、全てのレコーディングが終わりました。
しかし、これだけでは楽曲が完成したとは言えません。今までにレコーディングした吹奏楽の音、ナレーションの声、ボーカルの声を綺麗なバランスで、聞きやすいように編集していく作業と、それらの音源を、①吹奏楽のみのinstrumental、②拓匠開発様社員代表ソロバージョン、③松本卓也・Noahデュエットバージョンの3つの音源に、書き出す作業があります。

レコーディング・エンジニアに、どういったバランスでミキシングを行ってほしいかをオーダーし、編集しながら時間の許す限り微調整を繰り返していきます。かっこいい音源になるかどうか、出来栄えを左右するので、弊社ディレクターの一番の山場でもあります。


こういった細かな作業を経て、3つの音源が完成。ここまでの作業が終わった音源を、会社に一旦持ち帰り、最適なデータ形式にしてお客様へ納品。
楽曲が完成するまでって、こんなに長いんです!

あとがき

楽曲ができるまでの舞台裏、いかがでしたか?
ゼロから生み出したものが、形になった瞬間には、何にも変えられないほどの感動と達成感があります。拓匠開発様のオリジナル社歌は、納品後、年末の仕事納めの納会にて社員の皆様へお披露目され、その後皆さんで歌われる機会も増えているとのことでした。お客様から、社員の皆さんが肩を組んで楽しそうに私たちが制作し社歌を歌われているのを見て、非常に感激したのを覚えています。拓匠開発様、この度はご依頼いただき本当にありがとうございました!
是非、ユニークで拓匠開発様「らしさ」が満載の社歌、お聴きいただければと思います。

完成した拓匠開発様 オリジナル社歌
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